La萠Mie 宮城県ツアー 2014
「がんばろう東日本! アート支援」で兵庫県と、
兵庫県芸術文化協会の支援助成事業から 助成を受け、実現させていただきました。
宮城県の牡鹿半島、石巻市、東松島、仙台市で5公演をしてまいりました。
その四日間の記録をまとめましたので、ごらんください。
La萠Mie 代表 松井智惠
2014.3.21.
今年も3/21〜24の三泊四日で、
兵庫県芸術協会が主催する「がんばろう東日本! アート支援事業」に
La萠Mie で参加する事になりました。
三年目の被災地、しっかり見てきたいと思います!
「La萠Mie 宮城県ツアー 2014」が始まりました。
行きの飛行機の中から富士山が見えました♪
今回の参加メンバーは、tomoeさん、minakoさん、hitomiさん、megumiさん、
伴奏者の yukiちゃん、そして私の総勢6名。(今回 seikoさんはお休み)
前日から吹雪き、雪が積もって到着が心配されていたそうです。
でも無事に仙台空港で、今年も安彦さん、平塚さんと再会して、さあ出発です♪
三月ももう終わりなのに、あたりは雪景色、寒いです(涙)。
空港から直行したのは、毎年お世話になっている「仙台北教会」
第1日目は23日の行われるテノール歌手の最上巌さんとの
ジョイントコンサー トのリハーサルです。
最上巌さんは、武蔵野音楽大学 声楽学科を卒業されたテナー歌手。
ピアノやヴァイオリン等様々な楽器をこなされ、
現在は東北学院高校で 教鞭をとられ、
指揮、作編曲、音楽指導もなされる凄い人で、
仙台北教会では、オルガニストとして活躍されています。
23日のコンサートでは、2012年の宮城ツアーで演奏した
絵本作家 葉祥明さんの作品「宇宙からの声」を再演させていただきました。
東北学院榴ヶ岡高校の学生さんに、朗読をしていただきました。
コンサートは、明日からですが1年目に訪れた水没した北浦地区、
大川小学校などを 通って宿舎に入りました。
瓦礫は撤去されたものの状況が変わっていないのに驚き、
言葉を失った3年前を思い出しました。
オコタに入って今日の反省と明日の打ち合わせ♪
今夜は石巻市に宿泊。
明日は二公演の予定です。
頑張ろう!
2014.3.22.
今日は朝7時に出発、牡鹿半島へ向かいます。
途中、道路沿いの入り江にあるサン・ファン・バウテスタ号を見ました。
サン・ファン・バウテスタ号は、
江戸時代、仙台に滞住していたスペイン提督の協力で造られたもので、
慶長使節団を乗せて太平洋を往復した木造船です。
小竹浜は大震災の震源地に最も近いといわれた所で、道路の復旧も遅かった所です。
今年の大雪の時も孤立を余儀なくされたそうです。
落石も多く、未だに危険な道路でした。
牡鹿半島の入り口、小竹浜にやってきました。
小竹浜は、海に面し海の恵みで生計を立てている小さな村。
震災時、海に近い家は流されてしまいましたが、
近くの二つ島が津波の勢を和らげた事と、
流された家が村の入り口に横たわり 海水をせき止めた事もあり、
最悪の被害は避けられたそうです。
午前中は小竹小中学校跡地にある「小竹浜集会場」にうかがいました。
今日のコンサートは全て「支援センターエマオ石巻」が主催してくださっています。
準備ができたら本番開始♪
ツアー前に、皆さん「あまちゃん」のファンだと聞いていた私達。
今回みんなで「あまちゃんのテーマ」を練習しました。
合奏初披露です♪
さすが人気の「あまちゃん」大ウケでした!
その後は、皆さん一緒にで歌ったり遊んだり♪
最後は1995年に起きた阪神・淡路大震災後、復興を願い作られた曲
阪神大震災の時のことや、兵庫県の現在までの復興してきた様子をお話して
『しあわせ運べるように』を聴いていただきました。
コンサート後は、小竹浜の皆さんがお昼を用意してくださり、
美味しいご飯を食べながら、皆さんのお話を聞かせていただきました。
小竹浜は昔ながらの漁村なので、
避難訓練を欠かした事がなく、災害で孤立した場合の危機意識の強い地域。
集会所には毛布・食料・水・自家発電機まで備えられていて、
孤立しても4日間は自力で過ごせるように いつも準備されています。
ですが、これだけ準備していても今回の震災ではちょっとのタイミングで逃げ遅れ、
亡くなった方もあったそうです。
家から出られなくて2階に上がり、家が辛うじて流されなかったので
命が助かった方のお話も聞きました。
『しあわせ運べるように』の歌を聞いて、阪神淡路の映像を思い出して涙が出てきた。
「あのとき私たちは思いをよせることができなくてごめんね。」とおっしゃいました。
東日本大震災の被災者であるのに兵庫から来た私達のことを思ってくださり、
そのお気持ちに感謝したいと思いました。
最後に記念撮影♪
皆さんでお見送りしてくださいました。
小竹浜を後にし、次にうかがったのは石巻市にある上大二会館。
午後からはこちらでコンサートです♪
本番♪
こちらでも、皆さんと一緒に楽しめる曲を中心に演奏させていただきました♪
最後は「しあわせ運べるように」「花は咲く」をお送りしました。
コンサート後は、皆さんとお茶っこ(お茶会)をして、
皆さんのお話を聞かせていただきました。
こちらは町に近いせいか、新築やリフォームされた家が多く見られました。
ですが、津波被害は大きかった場所です。
うかがった震災当時のお話を紹介します。
- 津波は頭の高さまで来たうえに、またそれが真っ黒ヘドロでとても臭かった。
- 小学校に避難する時、家から布団を運んだが、肩までヘドロ浸かってしまう為
布団を頭の上に乗せて濡れないように運ばなければならなかった。
- 水が引くまで大きな銀バエが大発生して、ペットボトルに水を張って置いておくと
その中にびっしりとハエが落ちている状態だった。
- 瓦礫の処理が行われている間ずっと、空気に異臭がしていた。
異臭が気にならなくなったのは、ここ最近。
- ここは津波で大変だったけど福島はもっと大変。戻りたくても戻れない。
でもここだって女川原発があるから、福島と同じようになっていた可能性はある。
女川は停止していたから良かったものの、どうなっていたかわからない。
- 主人を亡くしました。
一緒に家を出たのに忘れ物と戻って、それが最後で自宅でみつかった。
娘が私が主人の後を追うのではと心配してくれてね、
本当に死にたかった、 何もないしね、
今は命ないと何もできねと考えるようにしてるけどね。
- 私は家族三人なくした。。。
- 主人を津波で亡くしました。
3年間うつむいて過ごしてきました。
でもコンサートの間だけは、まっすぐ顔を上げることができました。
-
バンドでギターを弾いていたが、楽器やアンプが水に浸かり駄目になった。
最近やっと楽器も揃い再び仲間と一緒に音楽を楽しめるようになった。
地震、津波のことをあまりお聞きしてはいけないのかも、と思いましたが、
皆さん共通の辛い体験をなさった方々話は尽きないようでした。
けれど、後ろの隅っこに腰掛けてコンサートを聴いてくださった男性の方は、
最後に歌った『花は咲く』の時に泣かれていて、
コンサート後の茶話会にお誘いした時『この曲はダメ帰るわ』と頭を下げて帰られました。
お辛いことを抱えてらっしゃるけれど、
まだ話せる段階ではないことを察するに、爪痕の大きさを感じました。
お茶っこの余興は、もちろん「あまちゃん」♪
記念撮影♪
「支援センター エマオ石巻」の 久美子さん、トマト君、
お世話になり有り難うございました。
コンサート後、
去年に引き続き平塚静隆さんの案内で、被災地を回りました。
平塚さんは、農業家で津波被害を受けた農地の復興に取り組まれています。
被災地の現状や歴史に詳しく、今回も平塚さんならではの案内をしていただきました。
日和山の公園内には、そこから見る震災前の写真が取り付けられています。
それが、こちら。
写真に写っている建物は津波でほとんど流され景色が変わってしまっていました。
現在の写真がなくてすみません。
三年たっても、あまり復興の様子はありませんでした。
明日は仙台北教会でコンサートなので、仙台に戻ります。
明日も頑張ろう!
2014.3.23.
ツアーも三日目に入りました。
今日のコンサートは、仙台北教会での「La萠Mie•最上巌 ジョイントコンサート」
ジョイントコンサートでは「La萠Mie 宮城県ツアー 2012」で、
仙台市天文台で演奏した、
絵本作家 葉祥明さんの「宇宙からの声」という作品を
今回も葉さんの震災支援のためでしたらということで許可していただき、
絵をスクリー ンで投影しながら、
音楽は最上先生のアレンジで演奏しました♪
ナレーションを担当してくださったのは、
東北学院榴ヶ岡高等学校 放送部の多田遥さん 末包沙奈美さん。
東北学院榴ヶ岡高等学校 放送部は、
ラジオ番組「とび出せ高校生諸君」に出演したり、コンテストや研修会に参加したりと、
日々部員同士支え合いながら頑張っておられるそうです。
第60回NHK杯全国高校放送コンテスト全国大会 ラジオドキュメント部門 制作奨励賞、
第32回宮城県高等学校放送コンテスト新人大会決勝大会 ラジオドキュメント部門 最優秀賞を取られる等、輝かしい経歴を持っておられます。
とっても素敵なお二人と最上先生、
最強の共演者を得て、コンサート開演です♪
最上先生、美声を聴かせてくださいました。
最上先生は、今日の演奏曲のアレンジ、会場の準備等々、
このコンサートのために、大変尽力してくださいました。
最後は「見上げてごらん夜の星を」を客席の皆さんと一緒に歌いました♪
本日の共演者の皆さんと♪
コンサート後お茶の時、
東北学院榴ヶ岡高等学校 放送部 顧問の宗高由佳先生に震災当時のお話をうかがいました。
「あの日の揺れは 本当にひどかった。
生徒の安否確認ということを 初めてした。
自宅に 車で帰るのに ふつうなら 30分ぐらいで着くのに 停まってしまって動かない。
車のテレビで 津波の映像を見て “なんじゃこりゃ?”という 言葉しか 出なかった。
いったい なにが起こっているのか 理解できなかった。
自宅に帰っても ライフラインが 切断されており 情報もなかなか 入ってこなかった。
夜は 一人でいるのも不安なので
マンションの一階に 何人か集まって 毛布をかぶって 過ごしました。」
コンサート後、大きな被害のあった閖上(ゆりあげ)へ向かいました。
津波が建物や農地を押し流し、今残るのは、遠くに見えるグレーのサイロ、
閖上小学校歩道橋、閖上大橋。
ここは 400年前にも津波で全滅、今回も再び全滅しました。
そして、今岩沼市で新しく作られている「千年希望の丘」へ行きました。
「千年希望の丘」は、沿岸部に多重防御の新しい社会共通基盤として、
津波の力を減衰させる津波除けであり、
後世の人々へ今回の津波被害の大きさやその時の想いを伝えるために作られています。
本日の晩ご飯は、この時期一押しの「ほっき飯」。
すごく美味しくて、今日の疲れも吹っ飛びました♡
真ん中にいらっしゃるのが、安彦薫さんです。
毎回現地スタッフとして参加していただいでいます。
明日は最終日です。
2014.3.24.
宮城県ツアー最終日になりました。
最終日は、去年もお邪魔した東松島市のファミリーホームで二公演です。
楽屋にて♪
入り口には、子供達手作りのプログラムが♪
コンサート前には、子供達からお礼のご挨拶!
感動です♡
そして「ばっぱの会」から手作りコサージュのプレゼント。
まだ一曲も歌ってないのに、こんなにおもてなししていただいて恐縮です。。。
コサージュを着けさせていただき記念撮影♪
本番開始♪
「かごめかごめ」を皆でしました。
懐かしい〜
すっかりお得意!「あまちゃん」。
第一部終了。
お昼は「お好み焼き大会」!
他にもおいなりさん等、ばっぱ(おばあちゃん)の手作り料理が並びました♪
東北ではお彼岸においなりさんをいただかれるそうで、
他でもご馳走になりました。
午後からも本番♪
午後からのコンサートは、学校から帰ってきた子供達も交えて
皆で一緒に歌ったり、手遊びしたりしました♪
ついにコンサート全日程が終了しました。
ばっぱや子供達、犬のくろちゃんにもご挨拶して空港に向かいました。
空港にて。
四日間お世話になり有り難うございました。
それぞれの思いを胸に帰ります。
関西には、被災地の状況はなかなか伝わりにくいですが、
「私たちのことを忘れないでほしい」という思いは、
兵庫県の大震災のときと同じだと思います。
あちらで色々お話をうかがいましたが、現地には小さな仮設住宅がまだたくさんあり、
そのような場所への訪問が必要だと聞きました。
そして現地に入っている支援団体の活動が被災者の方々を支えているという事がわかりました。
私達も、応援を続けたいという気持ちで帰ってきました。